#03 調査報告書

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第3 検証

1 確認された事実

(1) 本事案に関する事実

・『EFA』プレイテストに参加した100名のプレイヤーのうち、60名の心身に影響を及ぼす症状が発生した。いずれも死亡には至らなかったが、うち36名が軽〜中程度の後遺症を患っている。

・うち、意識不明や昏睡状態などの症状を発したテストプレイヤー数名は、█月現在も入院中である。

・『EFA』VRゲーム部分のプログラムに、不具合や異常は見られなかった。少なくとも社内プレイテストまでは、まったく正常に動作していた。

・専用ヘッドギアにも不具合や故障は確認されなかった。後日、VR機器メーカー監修のもとヘッドギアの点検を行ったが、動作や挙動に問題点は見受けられなかった。

(2) プログラマーBに関する事実

・『EFA』には、プログラマーBが制作を主導していた『VR避難シミュレータ』のデータの一部が使用されている。

・このデータの転用をめぐって、プロデューサーAとプログラマーBは対立していた。

・アンケート結果より、プログラマーBの人格や業務態度に難があったことが判明している。

・プログラマーBは退職し、当社を名誉毀損(注9)で訴えた。現在も係争中である。

・その後プログラマーBは、SNSにて当社ならびにプロデューサーAを中傷。当社はプログラマーBを誹謗中傷で訴え、こちらも係争中である。

(3) プロデューサーAに関する事実

・プロデューサーAは音信不通となり、█月現在、行方不明となっている。捜索願は提出済み。

・Aは失踪の前日に、社内チャットツールにて全社員に向け、下記のメッセージを投稿している。

図-20

図-21

図-22

2 検証結果

 確認された事実を総合して判断すると、本事案と『EFA』の間に明確な因果関係は存在しないと言える。(注10)

 プログラム、ゲーム映像、VR機器、プレイルーム等『EFA』を構成するすべての要素とその挙動において、不具合や異常はなかった。

 本事案においてテストプレイヤーに現れた症状は、映像演出において過度な点滅やフラッシュなどの表現は確認できないものの、光過敏性発作(注11)のような症状の一種ではないかと考えられる。

 他の要因としては、『EFA』が災害を題材としていることや、多層的なループ構造などによって引き起こされた心理的なプレッシャーやストレスといった要因が、プレイヤーの心身に作用した可能性がある。

第4 総括

1 今後の対応

 本事案発生から数日後、SNSにおいてテストプレイヤーに参加したと見られる複数のユーザーから、体調不良の原因は『EFA』のプレイによるものである、という趣旨の投稿がなされた。

 これらの投稿を行ったアカウントに対しては、発信者情報の開示請求(注12)を申し立てている。

 また、本事案に関して当社に対する誹謗中傷、および悪質なネガティブキャンペーンについては、法的な措置を取る方針である。

 一方で、こうしたネガティブなイメージの払拭を進めながらも、それを逆手に取るマーケティングが有効であると考えられる。

 █日のマーケティング会議で提唱された「自殺未遂者が出た禁断のゲーム」「呪いのVRアトラクション」のキャッチコピーを大きく打ち出すとともに、『EFA』はゲームタイトル名を改めて再発表する方針である。

 あわせて、安全性を強調するため、東京厚生大学付属病院の所属医師へ監修を交渉中。

2 諸課題の解決策

(1) 社員SNSアカウントの管理徹底

 全社員のSNSアカウントの管理を徹底し、研修を行う。各管理職は部下のSNSアカウントを監視し、定期的に報告することが望ましい。

(2) 開発チームの身元調査の徹底

 プログラマーBのような事例を繰り返さないよう、『EFA』開発チームの身元調査を実施する。

 開発チームの構成メンバーは、実力や成果のみで判断するべきではない。精神的に不安定でなく、当社への十分な信頼があると確信を持てる人物のみを起用することが望ましい。

(3) 社員間での情報共有の徹底

 社員間で情報共有ならびに連携を徹底するよう通達する。

 勤務時間外に不審な動きがあった場合、すみやかに上層部に報告するよう義務づける。また、社内カウンセラーには定期的に相談内容の共有を指示する。